「農と生きもの研究所」Facebookページも、今シーズンより運用していく予定です。
2016年7月5日投稿より。下に全文も載せていますので読みやすいほうをどうぞ。
今回2016-07-02の関東出張は全農さんが企画した市民向けの観察会での参加でした。
場所は伊勢原市、参加者は都内近郊在住のご家族(多分)。
数年前から企画立案含めて参加させていただいているのですが、意図はただ単に「田んぼにいる生きものを観察しよう!」ではなく、田んぼの生きものという視点で、みんなが食べている生きもの(お米などですね)を楽しく知ってほしい。なんです。
なので、田んぼで生きものを探す→捕まえる→みんなで観察する。この流れと、どんな生きものが見つかったか共有する→お話しするというお勉強的な部分も大事にしています。
小学生低学年が多いので、柔らかくわかりやすくお話ししますが、視点は田んぼだけではなく、地域の生態系から地球単位までぐんぐん広げます。
例えばカエル。今回は日本アマガエルがたくさんいました。アマガエルたちは田んぼで生まれ、大人になると旅に出ます。そしてまた産卵のために田植えのころに生まれた田んぼに戻ってきます。ではこの田んぼ(生まれ故郷)がなくなるとどうなるか?世代交代できずに死んでしまいます。
生きもの(カエルなど)が見つかって楽しかったね!だけではなく、「考える」「学ぶ」というきっかけにもなるように工夫しているのですね。(我が師匠宇根豊の十八番なんですけど、活用させていただいております)
当然ですが、田んぼの生態系はきわめて複雑であり、地域性も圃場ごとにもかなり違います。季節でも変わりますね。何かがいたからこうだなんて言えません。そんな乱暴な解釈では謝った判断をしてしまうでしょう。
*朱鷺や鸛、大型の水生昆虫は確かに「カッコいい」です。目立つし、人気もあります。でもね、小さな小さな取るに足りないような名前もよくわからない(ありますけど)「ミジンコ」も大事です。ミジンコやイトミミズ、ユスリカなどがいてこそ、おっきな生きものも暮らせるのですからね。
ただの虫なんてどこにでもいるけどどこにでもいない、何のためにいるのかも人類の視野からは見えません。でもそこにいるということは「意味」があるからいるのです。
我々も生きものです。つまりはこの複雑かつ解明しがたい自然の中で生きているわけですが、そのことに気が付く人はとても少ない。
身近な自然(農地もね)から生きもののことを考え、そして食や暮らし、地域や生態系、ひいては地球のことも考えてもらうきっかけに「田んぼの生きもの観察会」はよい方法だと思います。
場所は田んぼ(あるいは畑やその周辺)であれば農法は問いません。有機の田んぼでなくてはいけないわけでは決してないです。むしろ、慣行(農薬や化学肥料使用)の田んぼで実施して、少しでも生きものにやさしい、地域の生態系に配慮した田んぼになるが増えることを望んでいます。
人も生きものです。生きものが住みにくい世界では、きっとヒトという生きものも住みにくいのではないでしょうか。
*画像は参加者の方からお借りしました。なんだかやさしくていい写真ですね。私には撮れないな。